第113回 2025年高齢者はコロナワクチンを打つべきか徹底討論

はじめに

こんにちは、くぼたクリニック松戸の窪田徹矢です。今日は「今さら新型コロナワクチンを打ったほうがいいのか?」というテーマでお話しします。2025年度、松戸市では65歳以上の高齢者を対象に新型コロナウイルスワクチンの接種が10月から開始されています[1]。今年度より自己負担が発生し、接種費用は1回5,000(松戸市在住65歳以上の場合)となっています[2]。費用負担が生じたことで、「もう接種しなくてもいいのでは?」「5千円払ってまで打つべきか?」と悩む方もいらっしゃるでしょう。しかし結論から言えば、高齢者の方はぜひコロナワクチン接種を検討すべきです。以下にその理由を、最新のエビデンスやメリット・リスクを踏まえて解説します。

高齢者にとってのコロナのリスク

まず押さえておきたいのは、高齢者にとって新型コロナ感染症が依然として深刻なリスクであることです。厚生労働省のデータによると、70代のCOVID-19致死率は約2.6%、80代以上では5.4%に上ります[3]。これは同年代におけるインフルエンザの致死率(0.5%以下)と比べても極めて高い数字です[3]。つまり、高齢者がコロナに感染するとインフルエンザより桁違いに重症化しやすいのです。また、2025年春以降にはオミクロン系の新たな変異株「LP.8.1」の流行も報告されており、免疫をすり抜けて感染力が高いことが指摘されています[4]。WHOや専門機関も高齢者や基礎疾患を持つ方にはブースター接種の継続が重症化予防の観点から重要だとしています[4]。過去の接種や感染で得た免疫も時間とともに低下しますので、現在の感染状況や新たな変異株に備えるためにも追加接種が推奨されているのです。

ワクチン接種のメリット(有効性)

ではコロナワクチンを接種すると何がどう改善するのでしょうか?最大のメリットは重症化や死亡リスクの大幅な低減です。実際、ワクチン未接種の高齢者と接種済み高齢者を比較すると、死亡リスクが10倍以上も異なるという疫学データがあります[5]。米国CDCの大規模分析によれば、ブースター(追加接種)を受けた高齢者に比べ、未接種高齢者の死亡リスクは最大で約14倍にも及んだと報告されています[5]。別の解析でも、80歳以上ではワクチン未接種の死亡率がブースター接種者の10.3、65~79歳では23.7にも達したとの結果が出ています[6]。これらは「接種するかしないかが生死を分ける選択になり得る」ことを示す衝撃的な数字です[7]

さらにワクチンには発症自体を防ぐ効果感染後の後遺症(ロングCOVID)リスクを減らす可能性も示唆されています(発症予防効果は100%ではないものの、入院や重症化をかなり防げます[8])。世界的に見ても、新型コロナワクチンはパンデミック収束に大きく寄与しました。ある研究では、ワクチン導入後の1年間で世界で約2,000万人もの命がワクチンによって救われたと推計されています[9]。これは人類史上でも例を見ない成果であり、ワクチンがいかに多くの命を守ってきたかを物語っています。

要するに、特に高齢者にとってコロナワクチン接種は「命を守るための大切な手段」なのです[10]感染そのものを完全に防げなくとも、ワクチンを打っておけば万一感染した際の深刻な転帰を防ぐ効果は極めて大きいと言えます。

副反応と安全性について

もちろん、ワクチンを打つにあたって「副反応(副作用)は大丈夫か?」という不安はあると思います。コロナワクチンの主な副反応としては、注射した部位の痛み、倦怠感、頭痛、筋肉や関節の痛み、発熱などが知られています[11]。これらは接種後1~2日程度で消失する一時的な症状で、いわゆる「腕が少し痛い」「少し熱っぽい」といった程度のことが多いです。なお一般に高齢者の場合、若年層よりも全身的な副反応(38℃以上の発熱や倦怠感など)の頻度は低めであることが報告されています[12]。加齢による免疫反応の違いで、高齢の方のほうがむしろ副反応は軽く出る傾向があります[12]。実際に国内の調査でも「高齢者では若年成人に比べて発熱や倦怠感の報告が少ない」という結果が得られています[12]。接種を経験された多くの高齢者の方々も「翌日に少し腕が痛かった程度」とおっしゃいます。

一方でごく稀ではありますが重大な副反応も報告されています。例えばアナフィラキシー(急性アレルギー反応)は非常に稀な頻度ながら起こり得る副反応です[11]。万一アナフィラキシーが起きた場合でも、医療機関で速やかに治療が行われますのでご安心ください[13]。またmRNAワクチンでは、極めてまれに心筋炎や心膜炎(心臓周辺の炎症)が疑われる事例も報告されています[14]。ただしこれらは主に若年男性での発生が中心で、高齢者で重い心筋炎が起きた報告は非常に限られています。日本国内外で継続的に安全性モニタリングが行われていますが、専門家による評価では現在のところ特段の安全性上の懸念は認められていないとされています[15]。さらに、日本の研究班の調査によれば追加接種後の高齢者の死亡リスクに有意な増加は見られなかったとの報告もあります[16]。これは「ワクチン接種が原因で高齢者の死亡リスクが高まる証拠はない」ということです。

総合的に見て、コロナワクチンのリスクは極めて小さく、得られる利益(重症化予防効果)のほうが圧倒的に大きいと言えます。副反応が出るとしても大半は軽微で一時的ですし、重篤な副反応が起こる可能性は非常に低く、そのリスクはコロナに罹って重症化するリスクと比べ物になりません。特に基礎疾患をお持ちの方やご高齢の方は、「ワクチンを打たないリスク」の方が遥かに大きいことを理解していただければと思います。

当院でのワクチン接種案内

それでは、実際に接種を受けるにはどうすれば良いでしょうか。松戸市では令和7年10月1日から令和8年3月31日までの間に1回、定期予防接種として高齢者のコロナワクチン接種を実施しています[17]。対象となる65歳以上の方には市から個別の接種券郵送はありませんが、接種券(予診票)は市内の指定医療機関に備え付けられています[18][19]。当院(くぼたクリニック松戸五香)も松戸市の指定医療機関の一つですので、予約なしで直接ご来院いただければ接種可能です[20]。受付で身分証明書(住所・年齢確認のため)をご提示いただき、その場で予診票を記入していただければ結構です。費用は松戸市在住の65歳以上の方で1回5,000(税込)です[21]。生活保護受給者の方など一定の条件に該当する場合は無料措置もあります[22]。お支払いは接種後、受付でお願いしております[23]

当院ではファイザー社製の「コミナティ」ワクチン(mRNAワクチン)のみを使用しています[24]。コミナティはこれまで世界中で使用されてきた実績のあるワクチンであり、安全性と効果が十分に確認されたものです。当院では昨年度まで武田社(ノババックス)のワクチンも取り扱っていましたが、今年度は安全性がより確立されたファイザー社製ワクチンのみに絞って採用しています[24][10]。最近話題になった新技術の「自己増殖型(レプリコン)ワクチン」などは、まだ十分な安全性データが揃っていないため当院では導入予定はありません[25]。どうぞその点はご安心ください。当院は皆さまが安心してワクチンを受けられるように、安全性が確認されたワクチンのみを使用しております[10]

予約は不要ですので、ワクチンをご希望の方は診療時間内に直接お越しください[20]。定期受診で来院される際に一緒に接種することも可能です[20]。ちょうど冬のインフルエンザ予防接種の時期でもありますので、インフルエンザワクチンとの同時接種も可能です[26]。1度の来院で2つの感染症に備えることができますので、希望される方は受付でお申し出ください[26]。当日は体温が平熱であることを確認し、マスク着用の上ご来院いただければと思います[27]。万が一当日ワクチン在庫が切れてしまった場合は別日にご案内することもありますので、その際はご了承下さい[28]

何か不明な点や不安なことがありましたら、遠慮なく当院スタッフまたは私にご相談ください[29]。詳細なご案内や予診票の事前ダウンロード等は当院ホームページでも確認できます[29]。皆さまに安心して接種を受けていただけるよう、丁寧に対応いたします。

おわりに

これから冬に向けて、インフルエンザと同様に新型コロナの感染リスクも再び高まる季節になります[10]。高齢者の皆さんにとって、ワクチン接種はご自身とご家族の命と健康を守る重要な手段です[10]。確かに費用負担が発生するようになりましたが、5,000円で重症化リスクを大幅に減らせることを考えれば、決して高い買い物ではないと私は考えます。医療費や健康被害を防ぐ「先行投資」と捉えていただければ幸いです。

繰り返しになりますが、高齢者の方にはコロナワクチンの追加接種を強くお勧めします。これまで述べたように、エビデンスは接種による予防効果が非常に大きいことを示していますし、副反応のリスクは最小限です。ぜひ前向きにご検討ください。そして周りに迷っているご家族やご友人がいれば、このお話を共有していただければと思います。

当院では予約なしでいつでも対応しております[30]。使用するワクチンも安全性が確立されたファイザー製のみですので、安心してご来院ください[30]。スタッフ一同、皆さまの健康を守るお手伝いができるよう準備を整えてお待ちしています。どうぞお気軽にご来院ください[30]

最後までお聞きいただきありがとうございました。皆さんの健康がこの冬も守られますよう、心より願っております。


参考文献・情報源:新型コロナワクチンの効果や安全性に関するデータは厚生労働省やCDCの公表資料、松戸市の公式情報、ならびに医療専門サイト等から引用しました[7][6][11][12][10]。最新の情報については松戸市公式HPや当院HP[17][2]もご参照ください。


[1] [2] [18] [19] [22] [23] 令和7年度新型コロナワクチン定期予防接種について まつどDEいきいき高齢者|松戸市

https://www.city.matsudo.chiba.jp/matsudodeikiiki/mokuteki/yobo_kenko/korona.html

[3] [4] [5] [7] 高齢者のワクチン接種率が減少傾向に─Buzzreachが最新レポートを発表 | 人と情報の交流掲示板 | LINK-J

https://www.link-j.org/bulletinboard/article-47321.html

[6] コロナワクチン接種者と未接種者、死亡率の差は?/CDC|医師向け医療ニュースはケアネット

https://www.carenet.com/news/general/carenet/55992

[8] [11] [13] [14] [15] 新型コロナワクチンQ&A|厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_qa.html

[9] 新型コロナワクチン、接種導入後1年で推定2000万人の命救う-調査 – Bloomberg

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-06-24/RDYFE1T1UM0W01

[10] [17] [20] [21] [24] [25] [26] [27] [28] [29] [30] 〖2025年度〗 新型コロナウイルスワクチンを10月1日から接種開始いたします〖予約不要〗 | 松戸市五香|泌尿器科・内科・皮膚科・美容皮膚科|くぼたクリニック松戸五香

[12] 新型コロナワクチン接種後、高齢者はT細胞応答の立ち上がりが遅い-CiRAほか – Medical meets Technology | Sysmex

https://www.sysmex-medical-meets-technology.com/_ct/17602140

[16] [PDF] 副反応疑い報告の状況について – 厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001281453.pdf